第42回日本認知症学会学術集会 参加報告その1
2023年11月24日から26日までに,奈良県で開催された認知症学会に参加してまいりました.私は今年度より院生として勉学に励んでいる最中です.このたび初めて認知症学会に参加させていただきました.
私が入局してからはコロナの蔓延で,学会に現地参加するということがほとんどなかったため,今回数年ぶりに関西という土地を訪れる機会をいただきました.奈良は紅葉シーズンであったため,観光の方で大変にぎわっておりました.実際に私も,移動中にも山や木々が紅葉している風景に目を奪われてしまうほどでした.
今年の認知症学会のテーマは「社会が求める新時代の認知症学」でした.高齢化する日本の現状において,認知症に対する社会の関心も高まっていると思います.現在,レカネマブをはじめとした認知症に対する疾患修飾薬が注目されており,今回の学会はレカネマブの実際の使用・運用に関するテーマが多かったように感じました.レカネマブ使用に関する臨床的な内容はもちろん,認知症を早期に診断するためのバイオマーカーについての研究,細胞レベルでの新たな知見・研究などのテーマが取り上げられており,刺激を受けながら知識を深めることができました.また,認知症に対する地域の取り組みや高次脳機能に関する内容もとても興味深く,拝聴したい内容が多く時間が足りないと感じるほどでした.認知症の患者さんへのケアなども非常に重要であり,実際サポートする家族・地域に対しても医療者ができることを理解するということが臨床の現場で求められることが多いと思います.社会福祉的なケア・サポートについても情報を更新していかなければと,強く感じました.
今回の学会で,認知症に関する多職種の視点から,全国の研究・動向を知ることができました.シンポジウムでの質疑応答も時間が足りないくらい盛り上がることも多く,認知症医療に関わる方々の熱意をとても強く感じました.今後自分も研究や臨床に関しても,今回学んだことを糧に励んでいきたいという活力をいただいた学会でした.自分はこれから研究に取り組ませていただく立場で,患者さんやそのご家族にも何か還元できるようなことができればと考えています.
今回は都合上,全行程に参加することはできなかったのですが,来年度もぜひ参加させていただき,たくさんの知識を吸収させていただきたいと思っております.
(大学院生 渡邉緑)