TDP-43に関する研究を国際学会で発表しました

2023年09月11日 脳神経内科だより

2023年9月6日から8日までイタリアのトリエステで開催された“1st biennial conference on TDP-43 function and dysfunction in disease”に参加してきました.

開催地のトリエステはイタリア半島の東側,アドリア海の最奥に位置する港町です.中世にはヴェネツィア共和国領でしたが,14世紀からハプスブルク家の庇護下にあり,第一次世界大戦後,オーストリア=ハンガリー帝国の終焉とともにイタリア領となりました.街並みにはハプスブルク家の名残を感じる一方で,行き交う人々は朗らかで寛容なイタリアらしさがあり,心地よい街でした.

今回参加したのはInternational Centre for Genetic Engineering and Biotechnology (ICGEB)という機関が主催するTDP-43をテーマとした学会の第一回です.ALSやFTLDではなく,TDP-43だけのテーマで1つの学会が開催されるというのは,それだけこの領域が注目されていることを意味します.参加者は全部で150人ほどと大きな会ではなかったものの,この領域で有名な研究者たちが集まっており,それぞれのグループの最近の動向を知ることができました.

2日目の治療のセッションでは小野寺理 教授の招待口演が行われ,また,須貝章弘 先生,山岸拓磨 先生,私の3人もそれぞれポスターセッションで発表を行いました.私はTDP-43の遺伝子変異の病態について発表を行いました.私としては初めての国際学会であり不安もありましたが,イタリアらしくピザとワインの提供があり,和やかな雰囲気でした.さらに,この分野を牽引する研究者であるキングスカレッジロンドンのJernej Ule 先生やJemeen Sreedharan 先生が直接話を聞きに来てくれ,長時間にわたりディスカッションをすることができました.小規模な学会ならではの有意義な経験で,大変励みになりました.

今回の参加費用として,椿神経疾患研究基金の研究助成金の一部を使用させていただきました.これを糧にして,引き続き研究を進めて参りたいと思います.(大学院生 小出眞悟 記載)

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