国際学会参加報告ーAAIC2023に参加してー

2023年07月21日 脳神経内科だより

7月14日から7月19日(移動も含めると13日から20日)の約1週間,Amsterdamで行われたAAIC2023(アルツハイマー病協会国際会議)に参加致しました.

COVID-19 pandemicの影響で海外渡航からしばらく遠ざかっておりましたが,自身としては4年ぶりの国際学会参加となりました.私はポスターセッションでcorticobasal syndromeの脳脊髄液バイオマーカーに基づいたAT(N)分類と臨床的特徴について発表致しました.会期中は当研究所の遺伝子機能解析学分野の池内健先生,春日健作先生,留学生のFitrah Yusranさんをはじめ,日本の他施設の先生方と食事やイベントなどご一緒させていただきました.

Amsterdamは日中気温が高くなっても20℃前後で涼しく(むしろ肌寒いくらい),湿度も高くなくさわやかでした.ときどき短時間の雨がありましたが,会期中は快適に過ごせました(新潟は同時期,大雨や高温で大変だったようですが・・・).

本学会はメインの学会(7月16日~20日)に先立って特定のテーマに絞った教育セミナーのようなWorkshops and Preconferencesがあります.私はThe Basics of Fluid Biomarkers in Alzheimer’s Diseaseに参加しました.朝8時から夕方5時まで(朝食+昼食つき),第一線の先生方から複数のlectureがありました.各lectureでは理解度チェックの問題が出題され,全体での正答率も公表されるなど,楽しめながら最新のバイオマーカー事情についてreviewできたように思います.

会期中にADのHIA-AA clinical criteriaの改定案が発表されておりました.core biomarker(fluidあるいはimaging: PET)によって診断がなされること(symptoms are not necessary to diagnose AD:この文面には驚きました),共存する他病態の存在も考慮され従来のAT(N)分類にI(inflammation),V(vascular brain injury),S(α-synuclein)の項目が加わること,clinical stageとbiomarker stageから悪性疾患に用いるようなstagingを設定するなど大幅な改定が見込まれています.疾患修飾薬の登場によるところがあると思いますが,疾患を無症状期から連続的,多面的に捉えていくこととなり,今後もバイオマーカー研究が重要になってくることを実感しました.

久しぶりに世界の研究の趨勢と課題を肌で感じることができ,多くの刺激を得ることができました.大変充実した1週間となりました.(石黒敬信 記)

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