ALS-MND 2018

2018年12月10日 脳神経内科だより

ALS-MND 2018 学会報告

2018年12月上旬にALSの国際学会,international symposium on ALS/MND 29thに須貝先生と参加してまいりました.年一回冬季に開催される学会です.2013年,2017年に続けて3回目の参加になります.故中野今治先生が主宰された,日本人研究者の夕食会が毎年続いていて,今年も20人ほどが参加されました.食事会には不参加の先生も何人かいたので,学会の日本人の参加者は割と多いです.

 今年の会場はスコットランドのグラスゴーです.成田からロンドンまで12時間で,そこから国内乗り継ぎで1時間ほどのフライトです.乗り継ぎや,国内移動を併せるとほぼ24時間の移動でした.学会会場は,市街中心部から少し離れたSEC centre.歩いて30分弱です.感覚的には新潟駅から朱鷺メッセくらいでしょうか.鉄道では2駅で,泊まったホテルが駅と隣接していたので,移動は楽でした.思ったよりは寒くなく,雪も降らず,新潟のほうが寒かったかもしれません.

 昔から参加する先生に伺うと,学会の規模は段々と大きくなっているようです.今回の登録者は1200名程とのことでした.メインの会場もいつもは臨床と基礎の2部屋だったのですが,今回は基礎が2部屋になって,3部屋で開催されていました.昼食はランチボックスかと思ったら,料理を皿に盛ってくれる形式でした.ハギスが悪名高い理由はよくわかりました.

 ALSはSOD1,TDP-43,FUS,TBK1と 新規遺伝子が次々に発見され,その機能解析を通じて研究が進んできています.今回の学会でもGLT8D1というglycosyltransferaseが新たに報告されました.ガングリオシド代謝とALSというのはまた新しい研究の切り口になりそうです.ただし,新規遺伝子の報告はこれくらいでした.より複合的な,多因子遺伝子変異の関与の検討,体細胞ヘテロの話,神経毒BMAA(シアノバクテリア由来,ソテツにも含まれる,グアムALSの原因として疑われる)を用いた霊長類モデルの話など,興味深いものが多かったです.(学会の内容は脳研コラムでも一部触れていますので,そちらも読んでみてください).

 6月頃に抄録を提出して,12月に学会となります.半分ほどの演題は半年の間に論文になっており,残りの多くも投稿中です.そういった意味では完全に新しい情報が出ることは多くないです.しかし,研究の趨勢や今後注目される領域を感じるには,こういった学会はやはり有用です.来年の開催はオーストラリアのパースです.いつも冬の学会ですが,次回は夏の開催となりそうです.興味のある先生はぜひ参加されてください.

 石原

 

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